「戦後70年市民宣言 & 緊急要請」賛同のお願い
今年は戦後70年、日韓条約50年という歴史的な節目を迎えることから、安倍首相は8月15日に向けた戦後70年談話を発表しようとしています。
これまで日本政府は、1995年村山談話の「植民地支配と侵略」によってアジア諸国の人々に「多大の損害と苦痛を与え」たことや「痛切な反省」と「心からのお詫び」を踏襲してきました。しかし、発表される談話には、「おわび」や「植民地支配と侵略」の表現を談話に盛り込むことに否定的で、しかも閣議決定を経ず、公式色を薄めて首相の個人的見解として発表しようとしています。
私たちは、自国が行った歴史的事実に対して、心からの謝罪と賠償を行うこと、また、この歴史認識を若い世代に継承していく責任が問われていると考えます。このように重要な時期を迎えた今、私たちの想いを発信するために、「戦後70年市民宣言」を発表し、同時に安倍首相への緊急要請を行います。
つきましては、「戦後70年市民宣言&緊急要請」への賛同者を募ります。趣旨に賛同していただける方は、ぜひ賛同をお願いいたします。
呼びかけ人(50音順)
安間慎(平和を願い戦争に反対する愛知県戦没者遺族の会代表世話人) 池住義憲(元大学教員) 石川賢作(日中友好協会愛知県連合会会長) 石川勇吉(真宗大谷派報恩寺住職) 磯貝治良(「韓国併合100年」共同行動実行委員会代表) 伊藤孝司(フォトジャーナリスト) 伊藤康子(愛知女性史研究会会員) 岩田菊二(東海民衆センター) 岩月浩二(名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟弁護団事務局長) 浮葉正親(名古屋大学留学生センター教授) 内河惠一(弁護士) 大西五郎(日本ジャーナリスト会議・東海代表) 大西豊(笹島日雇労働組合執行委員長) 恩田明彦(愛知県原水爆被災者の会理事長) 加藤剛(日本ジャーナリスト会議・東海事務局長) 川村治令(愛知県歴史教育者協議会) 神田浩史(泉京・垂井理事) 岸野俊彦(名古屋芸大教授) 木俣昭一(国労名古屋地方本部執行委員長) 木村直樹(戦争と平和研究会) 小出裕(日朝協会愛知県連合会事務局長) 榊達雄(名古屋大学名誉教授) 佐藤明夫(半田空襲と戦争を記録する会代表) 島しづ子(名古屋堀川伝道所牧師) 杉浦一孝(名古屋大学名誉教授) 高木傭太郎(名古屋歴史科学研究会会員、「建国記念の日不承認」2.11集会事務局) 高橋信(名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会共同代表) 近森泰彦(ユニオンと連帯する市民の会代表) 寺尾光身(名古屋工業大学名誉教授) 中村紀子(名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会共同代表) 西秀成(愛知県史・調査執筆委員) 西井和裕(名古屋NGOセンター) 野間美喜子(弁護士) 野村潔(聖公会司祭) 長谷川一裕(弁護士) 早川静泰(日本ベトナム友好協会愛知県連合会事務局長) 樋口浩造(愛知県立大学教授) 廣瀬 務(真宗大谷派僧侶) 藤井克彦(反貧困運動) 森賢一(アジア・ボランティア・ネットワーク東海世話人) 安川寿之輔(不戦兵士市民の会副代表理事) 安原勝彦(日本ユーラシア協会愛知県連合会理事長) 山本みはぎ(不戦へのネットワーク) 由井 滋(カトリック司祭)
【連絡先】
<戦後70年市民宣言 & 緊急要請>
『正しい歴史認識に基づいた心からの反省・謝罪・賠償は和解と友好の礎です』
戦後70年を迎えました。この間日本政府は、戦争の事実と向き合い、正しい歴史認識に基づく反省と謝罪並びになすべき賠償責任をどこまで果たしてきたでしょうか。
安倍晋三首相は、来たる8月15日、戦後70年談話を発表しようとしています。談話の内容は、現在、安倍首相の私的諮問機関である有識者懇談会「21世紀構想懇談会」で議論が進められています。懇談会の西室泰三座長は、戦争責任について「談話の中で謝罪する必要はない」との認識を示し、安倍首相も4月末の米議会上下両院合同会議で戦後70年に触れて演説しましたが、謝罪の意思は示しませんでした。
1995年8月の村山談話「戦後50周年の終戦記念日にあたって」は、遠くない過去の一時期に「国策を誤り」、「植民地支配と侵略」によってアジア諸国の人々に「多大の損害と苦痛を与え」たこと、そしてそれに対する「痛切な反省」と「心からのお詫び」を明確に表明しました。村山談話は、その後のすべての政権で引き継がれています。その間、金大中韓国大統領訪日と日韓パートナーシップ宣言(1998年10月)、小泉首相の朝鮮民主主義人民共和国訪問と日朝平壌宣言(2002年9月)、アジア・アフリカ首脳会議での小泉首相演説(2005年4月)、「全米バターン・コレヒドール防衛兵の会」での藤崎一郎駐米大使の謝罪発言(2008年12月、2009年2月)、韓国併合100周年での菅直人首相談話(2010年8月)などと続き、アジア諸国等との友好関係を構築する礎となっています。
しかし安倍首相は、年初より村山談話や1993年の河野談話を「全体として引き継ぐ」と言いつつ、「植民地支配と侵略」など両談話の核心部分を盛り込むかについては、今日に至るまで触れようとしていません。
私たちの歴史認識(二つの加害)
近代日本は、一方的な琉球処分を経て、日清戦争後に台湾を植民地支配下に置き、その後も朝鮮を植民地にし、一貫した膨張主義的政策によって南洋群島さらには中国東北部(満州)へと実質的支配地域を拡大しました。
1931〜1945年の十五年戦争だけでも、日本は2000万人もの人々のいのちを奪ったとされています。戦闘による殺害以外にも、民間人に対する虐殺や強姦、労働の強制や食糧の強奪を侵略した各地で行ってきました。中国では、日本軍は三光作戦(焼き尽くし、殺し尽くし、奪い尽くし)を実施するなど「日本鬼子」と呼ばれ、人々に恐れられました。その象徴が南京大虐殺であり、各地に残る万人坑です。植民地統治下でも、主権侵害、強制占領、日本軍「慰安婦」、強制連行・強制労働、文化財略奪、創氏改名や日本語の強制など、数々の加害の歴史を刻んできました。これらは、日本が犯した「第一の加害」です。
敗戦後、東西冷戦構造の中で、日本は米国を中心とする資本主義陣営に与し、対立の一端を担いました。とりわけ朝鮮半島は南北に分断され、同じ民族が相争う朝鮮戦争という悲惨な戦後を体験しました。その責任の一端は、日本の植民地支配にあります。また日本は、朝鮮特需で戦後経済復興を成し遂げました。
日本政府は1965年の日韓条約で、韓国のみを朝鮮半島に存在する「唯一合法の政府」として南北分断固定化に加担しました。そして「両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益(略)の請求権に関する問題が、(略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認」したとして、植民地支配下で起こった日本軍「慰安婦」、強制労働・徴兵被害者などへの謝罪・賠償を一貫して拒否し続けてきています。
朝鮮民主主義人民共和国に対しては、戦後一貫して敵視政策を取ってきました。2002年9月に小泉首相と金正日国防委員会委員長との間で発表された日朝平壌宣言は国交正常化を図るものでしたが、拉致問題等を口実にして、未だに実行されていません。
中国やアジア諸国の戦争被害者に対しても、日中共同声明や二国間の協定によって解決済みとし、個人に対する国家賠償を行っていません。例えば、閣議決定で始まった中国人強制連行の被害者への謝罪と賠償は、いくつかの企業とは和解が進みましたが政府は未だ何の責任も果たそうとしていません。責任を果たさないばかりか、2013年12月に安倍首相は、アジア・太平洋戦争を「自存自衛の正義の戦い」(聖戦)として美化し、A級戦犯を「英霊」として祀っている靖国神社に内閣総理大臣として参拝しました。アジア・太平洋戦争における加害の責任を果たそうとせず、放置し続けていることは、戦後日本が犯している「第二の加害」と言うべきものです。
これらが私たち市民の歴史認識です。
平和への取り組み決意と緊急要請
戦後日本は、戦争責任問題について、東条英機をはじめ一部軍国主義者(A級戦犯)が責任をとるという形で外交的決着を見ましたが、最高責任者は責任を取っていません。また、実際に手を下した一般兵士を含む一人ひとりの戦争責任も問われないままになっています。
「責任をとる」とは、被害を受けた人々との間の深刻な溝を埋めるために、謝罪と賠償を通じた信頼回復の行動を起こすことです。日本が1945年の敗戦までに犯した「第一の加害」に対する「戦争責任」、そして、戦後今日に至るまで犯し続けている「第二の加害」に対する「戦後責任」を果たすことです。
平和への取り組みとは、正しい歴史認識とそれに基づいた心からの反省、謝罪、賠償を行うことです。他者の足を踏んだことは忘れやすいが、踏まれた側はいつまでも忘れることはできません。私たち市民は、こうした計り知れない犠牲をもたらした歴史に誠実に向き合い、過去の清算を果たす勇気を持って、今後、さらに平和への取り組みを実践していく決意です。
日本国憲法は、戦争の惨禍を再び繰り返さないという「心からの叫び」として生まれました。現行平和憲法は、今後一切、戦争を起こす国にはならない/しない、と永久に世界に誓った不戦・非戦の約束証文です。私たちは、この現平和憲法の精神に拠って立ち、戦後70年にあたって、次の五つを安倍首相に緊急要請します。日本の戦争責任と戦後責任を果たすことが、アジアをはじめとする世界の人々との真の和解・友好へと向かう礎となるのです。
これをもって、私たちの「戦後70年市民宣言」とします。
<安倍首相への緊急要請>
1.安倍首相が8月に表明する「戦後70首相談話」は、加害の歴史を事実として正しく認識し、村山談話の核心部分を継承した談話とすること
1995年8月の村山談話は、アジア・太平洋戦争と植民地支配に対して、「国策を誤り」「植民地支配と侵略」「痛切な反省」「心からのお詫び」などの言葉で、侵略戦争と植民地支配の事実を認め、謝罪と反省を表明しました。戦後70年の節目で出される首相談話は、村山談話に盛り込まれた歴史認識を継承したものにすること。
2.歴史の事実を直視し、国際的に確立された侵略の定義を認め、アジア・太平洋戦争が侵略戦争であったことを改めて表すること
安倍首相は2013年4月の参議院本会議で、日本の植民地支配や侵略をめぐり、「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国との関係でどちらから見るかで違う」と述べ、同年10月の国会質問主意書への答弁書でも「国際法上の侵略の定義については様々な議論が行われており、確立された定義を含めお答えすることは困難」との見解を述べました。
しかし、国際的に侵略の定義は、1928年に締結された「戦争放棄に関する条約」(不戦条約)、日本政府も支持した1974年国連総会に於ける「侵略の定義に関する決議」で既に明らかになっています。
3.アジア・太平洋戦争と植民地支配の被害者に対し、国家賠償を速やかに実行すること
日本の植民地支配と侵略戦争被害者個人への国家賠償は、2001年4月開催の「人種主義に反対する世界会議」(ダーバン会議)において採択された「宣言及び行動計画」、並びに2005年12月国連総会で採択された「基本的な原則及び国際人権法および国際人道法の重大な違反の被害者救済と賠償の権利に関するガイドライン」に基づいて速やかに行うこと。
4.日朝平壌宣言に基づき、速やかに日朝国交回復の実現に努力すること
2014年5月のストックホルム合意にある具体的措置の実行と緊密な協議を続け、2002年9月の「日朝平壌宣言」に基づいて速やかに国交正常化交渉を進め、国交回復を実現すること。
5.軍事力によらない近隣諸国との友好関係を築く努力をすること
安倍政権による南西諸島への自衛隊の配備強化や、沖縄・名護市辺野古への新基地建設、「積極的平和主義」の名のもとで行われている憲法違反の安全保障法制整備は、東アジアの緊張を高めています。辺野古の新基地建設や、南西諸島への自衛隊の配備・増強をやめ、憲法の平和主義を生かした外交によって平和の維持に努力すること。
2015年7月30日
「戦後70年市民宣言・あいち」市民有志一同
◆賛同の方法
「戦後70年市民宣言 & 緊急要請」に賛同していただける方は、お名前(ふりがなつけて)氏名公表の可否を記入し、以下の郵送、ファックス、メールでお送りください。
またはHPの◆賛同者募集◆からも直接賛同できます。
名前 (ふりがな)
公表 可 否
◆募集期間:7月1日(火)〜7月25日(土)締め切り厳守
◆送り先
※申し訳ありませんが、現在振込できません。準備が整うまで、しばらくお待ちください。
◆賛同費(任意)
一口/1,000円
振込先
口座番号:00890-1-169730
加入者名:「韓国併合100年」東海行動
※通信欄に宣言運動賛同とご記入ください。